フランス語の名詞には性別がある
名詞の性別とは、男性名詞と女性名詞のことで、フランス語の名詞はどちらかに分類されます。単語を覚えるだけでも大変なのに、男性名詞か女性名詞か知らないといけないのか!と最初からうんざりしてしまうかもしれませんね。でも間違っていたら意味が通じなくなるというわけではないので、安心してください。
男性名詞と女性名詞の分類に規則性はあるの?
Hachette出版のGrammaire du Françaisというフランス語文法の本によると、男性名詞と女性名詞の分類に関する、ある一定の規則性とその例外が紹介されています(91ページ、92ページ)。
まず、名詞の最後の部分(語尾)によって、男性名詞か女性名詞かの分類ができるものがあります。
男性名詞
語尾がisme、ment、age、eau、au、phone、oirなどの名詞(例外を除く)。
例えば、電話という言葉はフランス語でも英語に近いテレフォン(スペルはtéléphone)です。語尾はphoneで、テレフォンtéléphoneは男性名詞です。
女性名詞
語尾がté、 ion、 eur、oi、 ie、 ure、 esse、ette、 encre、ancreなどの名詞(例外を除く)。
例えば、品質という言葉はフランス語でも英語に近いカリテ(スペルはqualité)です。語尾はtéで、カリテ(qualité)は女性名詞です。
国名の場合は、例外を除いて、eで終わる場合は一般的に女性名詞で、他の場合は男性名詞だそうです。
例えばフランスはFrance、eで終わる女性名詞、日本はジャポンJaponでeが無いので、男性名詞。
川、山、そして花の名前に関しては規則性がないと説明されています。
名詞の性別と冠詞の密接な関係
以上見てきたように、名詞は男性名詞か女性名詞に分類されることがわかりました。それでこの分類は何のために使うのか?と疑問が出てきますよね。
フランスには冠詞という言葉があって、名詞の前に置かれます。
例えば、フランスの新聞「ル・モンド」。Le mondeと表記します。世界とか人々といった意味の言葉モンドmonde は男性名詞です。では、ルLeは何?男性名詞単数形の前に置かれる定冠詞と呼ばれるものです。
ブルボンのお菓子「ルマンド」は、この言葉に由来しているそうですよ!
東京原宿にある「ラフォーレ」。森を意味するフランス語La forêtに由来しているようです。ラLaは女性名詞単数形の前に置かれる定冠詞です。
パリのセーヌ川、女性名詞で「ラ・セーヌ」です。
川の名前の性別は不規則で、ライン川は男性名詞!発音が難しくて、カタカナで書くと「ル・ラン」ですが、「ラ」の発音は日本語発音にない「ラ」です・・・。
フランス語の「ル・○○」、「ラ・○○」は、定冠詞の付いた男性名詞、または女性名詞ということだったんですね!
冠詞は定冠詞以外にもあるので、冠詞についてはまた別の機会に見てみましょう。
同じ言葉の男性名詞と女性名詞
同じ言葉で男性名詞と女性名詞の両方が存在するものもあります。
例えば、日本人とフランス人。
ここでは冠詞を無視して名詞だけ見ると、日本人男性ひとりなら、ジャポネJaponais、日本人女性ひとりならジャポネーズJaponaiseです。
フランス人男性ひとりなら、フランセFrançais、フランス人女性ひとりなら、フランセーズFrançaiseです。
「私」は男性?女性?
冠詞以外にも、名詞の性別は形容詞や動詞にもかかわってきます。
例えば、日本語をフランス語に訳すときに、「私」が男性か女性か区別されないとフランス語にうまく反映させることができないことがあります。
例えば、「私は東京で生まれた」という文章では、「私」は男性でしょうか、女性でしょうか?
単数形と複数形

単数形と複数形の区別は、フランス語では日本語よりもはっきりしています。
日本語にも複数形のある名詞がありますよね。
例えば、「わたし」、「わたしたち」や「木」、「木々」。
では、「ここに本があります」という文章はどうでしょうか?
本は1冊でしょうか、それとも2冊以上でしょうか?
フランス語に訳す時、これがわからないとうまく訳せないんですよ。
あ~、フランス語ってなんて面倒な言語なんだ!と思われたかもしれません。でも、日本語の助数詞を思い出してみてください。人間はひとり、ふたり・・・猫は1匹、2匹・・・牛は1頭、2頭・・・鉛筆は1本、2本・・・切手は1枚、2枚・・・車は1台、2台・・・日本語を学ぶフランス人はこれに驚愕しますよ。
日本語とフランス語の違い、面白いですよね。
ではまた次回のフランス語発見をお楽しみに!
このページのイラストは「イラストAC」で見つけたものを使用しています。