ライン川が名前の由来のバ・ラン県とオ・ラン県
アルザスにはバ・ラン県とオ・ラン県というふたつの県があります。
ランRhinはライン川の意味で、バ・ランはライン川下流、オ・ランはライン川上流を意味しています。ライン川はスイスから北に向かって流れているので、下流の方が地図で見ると上になります。
アルザス地方の人口や主な都市は?
アルザスの人口は約188万人で、バ・ラン県が約112万人、オ・ラン県が約76万人です。
人口の多い都市は、ストラスブール、ミュルーズ、コルマールです。
アルザスは全体的に人口密度が高く、フランスの平均人口密度が116人/km2なのに対して、アルザスは225人/km2です。
皆さんがお住いの都道府県と比べてどうでしょうか?
参考:https://www.grandest.fr/wp-content/uploads/2017/08/population.pdf
アルザス地方の「地方」とは
アルザス地方の「地方」という言葉は、フランス語では「Région(レジオン)」という言葉です。でも、この言葉がちょっと問題・・・
フランスには、複数の県からなる地域圏(州と訳される場もある)という地方自治体の単位(地方行政区画)があって、この「地域圏」もフランス語では「地方」と同じ「Région(レジオン)」なんです。
ざっくり見て地域圏は、日本の関東地方や近畿地方のような地方区分に似ていますが、フランスの地域圏には、議決機関として議会、執行機関として議長、また諮問機関である地域圏経済・社会・環境評議会が置かれています。この地域圏という範囲でアルザス地域圏としての存在もありました(ありました、という過去形になるところが、また面倒くさいですね)。
ところがフランスでは2016年に地域圏再編成が行われ、アルザス地域圏は、ロレーヌ地域圏とシャンパーニュ=アルデンヌ地域圏と合併する形でグランテスト地域圏となりました。つまり地域圏としてはアルザスという名称は失われてしまったわけです!!!
ただ、歴史的には、アルザス地方、ロレーヌ地方、そしてシャンパーニュ=アルデンヌ地方、それぞれが文化・伝統を育み、発達してきたのであり、それは行政区画が大きくなってしまってもほとんど変わることはないでしょう。アルザスは地理的・文化的にひとつの地方であり、行政区画のグランテスト地域圏という名称からは、その本来の姿は見えてきません。
しかも行政区画の変更は、更に続きます(いったいどれだけやったら落ち着くんだろう・・・)。アルザス欧州自治体という新しい自治体の創設が2021年1月1日に予定されているのです。こうなるとアルザスとは何か混乱しますよね。
このサイトでは、アルザスを散歩しながらその風景・文化・歴史・伝統などを楽しんでいただくことを目的としているので、特別に行政区画について触れるとき以外は、地理的・歴史的・文化的な地方としてのアルザスということで、「アルザス」または「アルザス地方」という言葉を使います。
いろいろ面倒なことは忘れて、アルザスの風景と出会う散歩に出かけましょう!