アルザス地方ってどこにあるの?
フランスのアルザス地方、まず六角形と呼ばれるフランスの地図を見てみましょう。上半分の右側の角部分にあたり、右隣はドイツ、下の部分はスイスと接しています。
全体の形は縦に長く、上の方が少し広くなっています。数字の「1」を太字にして少し斜めに書いたような形です。
大まかに見て、縦が約190キロメートル、幅は平均約50キロメートルです。
普通の地図では地形までは表示されていないのでわかりづらいですが、「ヴォージュ山脈とライン川の間にある地方」という表現がよく使われる通り、西側にヴォージュ山脈があり、東側にライン川があります。その間にはアルザス平野が広がっているんですよ。
下の地図の赤い部分がアルザスです。
ヨーロッパの中心部に位置する国境の地
ライン川が東側の国境となっていても、景色はそこで途切れることはないので、広々とした風景を楽しむことができるんですよ。日本なら県境をイメージするとわかりやすいと思います。山や森などで遮られていなければ、県の区別なく田んぼが広がっていたり、海岸線が続いている、そんなスケールの風景です。
アルザス平野から、あるいはヴォージュ山脈側からドイツ方面に目を向けると、ライン川は私たちの視界を遮ることはなく、遠くまで見渡すことができ、ドイツの黒い森(シュヴァルツヴァルト)を望むパノラマが広がります!もちろん雨の日はだめですが・・・
こうした広々とした景観が楽しめるのは、ライン川のライン地溝帯という地形のおかげなんです。
ところで、アルザス地方やロレーヌ地方の紹介文には、「ヨーロッパの中心部」という表現がよく使われています。どうしてなのでしょうか?
ヨーロッパの地図を開いて、アルザスの中心都市ストラスブールからパリまでの直線距離にほぼ相当する半径400キロメートルの円を描くと、ルクセンブルクとスイスの全域、ベルギーの大部分、ドイツの半分、オランダ、オーストリア、そしてイタリアの3か国はそれぞれ一部、更にはチェコもほんの少しですが円の中に入るんですよ。
自国の首都までの距離と同距離のところに別の国がいくつもある、まさにヨーロッパの中心部に位置しているんですね。
アルザスの南東部にあるユナングHuningueという町から見えるライン川の真ん中に、フランス、ドイツ、スイスの3か国の接点があります。
長い歴史の中ではライン川が国境でなかった時期もあります。そして国境の存在の仕方も大きく変化してきました。アルザスを散歩しながら独特の歴史や文化に触れてみませんか?