ルイ14世には美しい庭に見えた?山も丘も平野もあります
太陽王ルイ14世が初めてアルザスを見た時、「なんて美しい庭だ!」と言ったと伝えられていますが、アルザスの美しさは庭のイメージにとどまらず、一年を通じて様々な魅力を見せてくれます。
その秘密のひとつは地形!
地形の特徴をわかりやすく示しているのが、西から東に向かって、ヴォージュ山脈、ヴォージュ山麓の丘陵地、平野部、ライン河岸部という分類です。
隣のロレーヌ地方にまたがるヴォージュ山脈は、南部に高い山が多く、ヴォージュ山脈で最も高いグラン・バロン山(1424メートル)などがあります。日本の山脈に比べると全体的に標高は低いですが、スキー場もあるんですよ。
山を平野部から仰ぎ見るのもよし、山に登って様々な形状の岩を見つけたり中世の城跡を訪れたり、高いところからの眺望を楽しむのもよし、考えるだけでワクワクしますね!
谷が作り出す景色も変化に富んでいるんですよ。全体の形、堆積岩、森林、草原や牧草地、谷間に点在する町や村など、それぞれ個性的な魅力にあふれています。
ヴォージュ山麓の丘陵地は、日照条件に恵まれ、アルザスワイン街道のブドウ畑が広がるほか、北部や南部では、麦などの農地が大地を彩っています。一口に丘陵地と言ってもその形状は場所によって大きく異なっているので、遠くから見ていると同じような雰囲気の場所でも、実際に行ってみると想像と全く違っていて驚かされることが多いんですよ。
平野部は、都市部、工業地帯、農地など、人間が生活を営む空間がはっきり描かれる場所ですよね。
アルザスの特徴として、川と運河、またそれ以外の多種多様な形での水の存在が挙げられます。河川港、水成土壌と呼ばれる湿性の土壌が広がる地域、地下水、釣り池、砂利採取場などが独特の風景を作り出していています。存在しないのは海だけ・・・?実は、海は数十万年前にあったんですよ。
地形と気候の密接な関係-恵まれた大地が支える食文化
さて、気候の方はどうかと言えば、アルザスの気候は半大陸性気候に分類されています。夏は暑く、冬は寒さが厳しく積雪や凍結があるのが特徴です。
日本でも冬に雪が降る地域で生じているかもしれませんが、アルザスでは50年前に比べると積雪の回数も量も減っています。70代の人の話では、平野部でも子供の頃は4か月間雪の中に埋もれていたそうです。ところが21世紀の今では、雪に埋もれるということはなく、平野部の積雪量は多い時で10センチぐらいです。昨冬はスキー場が雪不足で困っているというニュースを何度も見ました。
ただ、雪は降らなくても道路が凍結することはよくあるんですよ。
アルザスで見られる特徴としては、半大陸性気候のほかに、ライン地溝帯という特殊な地形による地域的な気候が挙げられます。西からの湿った雲(気流)がヴォージュ山脈によって遮られ、アルザスに来る前に雨を降らせてしまうので、アルザスは年間雨量が全国平均より少ないのです。特にコルマールは最も雨の降らない地域として知られているんですよ。
このような特別な気候をアルザスの人々は「微気候」と説明するのですが、特にアルザスワインについて語るときにこの言葉が強調されるような気がします。
このようなアルザス独特の地形や気候に合わせて農地、果樹園、放牧地などがあり、アルザスの食文化を垣間見ることができます。ホワイトアスパラガス、イチゴ、サクランボ、ミラベル(スモモの一種)、クエッチ(プルーンの一種)、郷土料理シュークルート用のキャベツ、ジャガイモ、穀物、テンサイ(甜菜)、リンゴ、洋ナシ、ホップなど・・・また、食品ではないですが、アルザスでは伝統的にタバコの葉の栽培も行われているんですよ。