コルマールってどんなところ?

コルマールってどんなところ?

小さな町の中心部に色彩と形が織りなす多様な表現

コルマールはオ・ラン県の県庁所在地で、アルザスの大都市ストラスブールとミュルーズの間に位置しています。

コルマールに関する最古の記述は823年のもので、そこに書かれている「鳩を飼育する場所」を意味する「コロンバリウムColumbarium」から現在の名前になったそうです。

今のコルマールの人口は約7万人、旧市街である中心部は大まかに見て横1㎞、縦0.8㎞とこじんまりしています。

この小さな中心部の中に、芸術性の高い建築遺産を持ち、中世から現代までの様々な時代を伝えています。

教会や裁判所などの公共建築から芸術家の生家や商人の家まで、様々な種類の建物が、それぞれの様式(ゴシック、ルネサンスなど)や形に加え、色使いにもこだわりが見られる創造性を発揮しています。

ライン川の支流であるラオ川が流れ、カラフルな色の家並みと水面が描く独特の世界は、世界中から訪れる多くの観光客を魅了しています。中でもプティット・ヴニーズ(小さなヴェネツィア)地区と魚屋河岸は、絵葉書のような風景という形容がぴったりです。

それぞれの魅力を発揮している建築遺産は、コルマールが歴史の中で常に重要な街であったことを物語っています。

Colmar-Quai de la poissonnerie

アルザスワインの首都、ブドウ畑はどこに?

コルマールはアルザスワイン街道の街であると同時に、1999年から「アルザスワインの首都」という呼び名を持っていますが、実際に行ったことのない人は、この名前からブドウ畑がイメージされるのではないでしょうか?ないんです、ブドウ畑。

あるのはロータリーの飾りとして植えられているものだけ。

ブドウ畑の中を散歩して・・・これはコルマールではできないのですが、なぜ「アルザスワインの首都」なのかと言えば、アルザスのワインの長い伝統を代表する都市だからだそうです。中世からルネサンスまで、コルマールはワインの取引で繁栄しました。ライン川の河川交通を利用して、ドイツ、スイス、ヨーロッパ北部にワインを輸出して、商業都市として発達したのですね。

こうした歴史的背景に加え、コルマールはアルザスワインの知名度や評価を高めるのに貢献し続け、70年以上にわたり毎年ワインフェアを開催しています(2020年はコロナの影響で中止)。

アルザスワインの首都として特別な役割を果たしているんですね。

アルザスにおける主要な町として顔

長い歴史の中で、コルマールは様々な面でアルザス地方における重要な町として機能してきました。

中世の神聖ローマ帝国時代には、後にアルザス10都市同盟と呼ばれる同盟が1354年に結成され、コルマールはこれに加盟しました。この同盟は防衛・経済の相互援助を目的とするもので、17世紀にルイ14世のフランス王国の領土となるまで続き、アルザスにおける政治的な力も増していきました。

また、コルマールは重要な機関を置く都市としての顔も持つようになっていきます。ルイ14世がアルザスに設置した高等法院(評定院)は当初は他の町にありましたが、後にコルマールに移転され、現在の控訴院のもとになりました。

コルマールの経済的な繁栄は、多くの建築物に現れています。

美術館だけでなく町のいたるところに芸術が花咲く

コルマールには、様々な美術館や博物館があります。最も有名なものはイッセンナイムの祭壇画(15世紀~16世紀)を収蔵しているウンターリンデン美術館です。

この美術館の管理運営はショーンガウアー協会が行っていますが、この協会の名前はコルマール生まれの版画家・画家マルティン・ショーンガウアーからつけられたものです。ショーンガウアーの多くの作品はウンターリンデン美術館で見ることができますが、傑作のひとつである「バラの茂みの聖母」はドミニコ会教会に展示されています。

ニューヨークをはじめお台場にもある自由の女神像。生みの親である彫刻家バルトルディはコルマール出身なんですよ。生家はバルトルディ美術館になっています。作品は館内だけでなく、町のあちこちで見ることができます。ストラスブールからコルマールに車やバスで来ると、ロータリーに高さ12メートルの自由の女神像が迎えてくれます。

Colmar-Statue de la liberté

アルザスのお菓子やお土産物のパッケージや絵葉書でよく見かけるイラストがありますが、これは挿絵画家として活躍したハンジ(本名ジャン=ジャック・ヴァルツ)(1873-1951)の作品です。ハンジもコルマール出身です。

Colmar-Enseigne-Hansi-aux-deux-freres

芸術の花を咲かせ続けるコルマール、魅力はまだまだ続きます。



参考:

Colmar-capitale-vins-alsace

Histoire et architecture de la Cour d’appel de Colmar

GRASSER Jean-Paul, « Une histoire de l’Alsace », Collection Alsatiques Gisserot, Editions Jean-Paul Gisserot

VOGLER Bernard, « Histoire de l’Alsace », Editions Ouest-France

« Colmar», I.D. L’Édition